2022年8月3日、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問。
これに中国は強く反発し、軍事演習やミサイルによる威嚇行為を行い、大注目を集めました。
その理由は、まさしく台湾が中国にとって特別な関係であることを意味しています。
この記事では、そんな中国と台湾の問題と関係性をわかりやすく解説しています。
対立はなぜ?中国と台湾の関係性を解説
結論から言うと、国際的には、台湾は中国のいち地域という認識となっています。
しかしながら、現在はその認識と、台湾の国としての存在が一致していないのが事実。
昨今、中国と台湾の間で緊張が高まっているのは、下記の双方の想いが一致しないことが主な要因です。
✔ 中国は、台湾を統一したい
✔ 台湾は、中国から独立したい
なぜ、このようなことが起こっているのか。
ここに至った背景を、歴史を紐解きながら解説していきます。
1949年に中華民国で内戦が勃発
日清戦争終了から、1945年の第二次世界大戦終戦まで、日本の統治下に置かれていた台湾。
それ以降は、中華民国へと返還されます。
ところが、今度は中華民国内で、国を挙げての大規模な内戦が起こってしまいました。
対立したのは、下記2つの政党。
✔ 蒋介石の国民党政府
✔ 毛沢東の中国共産党
この戦いで勝利を収めたのは、毛沢東が率いる中国共産党。
敗者である蔣介石が率いる国民党政府、そして、その支持者達。
彼らは台湾へ移動し、台北を新しい首都とします。
こうして、現在の中国=中華人民共和国、現在の台湾=中華民国の礎が形づくられました。
現在の中国=中華人民共和国
中国共産党は、1949年10月に「中華人民共和国」を建国します。
「中国建国の父」と呼ばれる、毛沢東を最高指導者とする政府です。
この中華人民共和国を、同じく共産主義を掲げるソ連がバックアップしました。
現在の台湾=中華民国
一方、台湾は自由主義を尊重するアメリカや日本がバックアップします。
統帥は、蒋介石。
その当初、国際社会から中国の正統政府とみなされてきたのは台湾でした。
ですが、中国と台湾ともに、自身が中国の正統政府であることを主張し続けた両国。
それが現代まで続いていきます。
「中国の正統政府=中華人民共和国」が共通認識へと変化
前述の通り、当初は台湾が中国の正統政府という国際認識でした。
ところが、それが覆されることが起こります。
ここでの要点は2つ。
1972年のニクソン元大統領の中華人民共和国訪問
戦後、対立関係が長らく続いた、中華人民共和国とアメリカ。
当時の第37代アメリカ大統領、リチャード・ニクソン氏が外交戦略のために中華人民共和国を電撃訪問。
これが、中華人民共和国とアメリカの関係修復・国交樹立のきっかけとなりました。
1979年の中華人民共和国とアメリカの国交樹立
第39代アメリカ大統領、ジミー・カーター政権下において、両国間の国交樹立が正式に実現します。
これが1979年1月のこと。
この国交樹立を機に、台湾と断交することとなったアメリカ。
そして、国際社会が中華人民共和国が、中国の正統政府とみなすようになりました。
これ以降、台湾というのは中国の一部であるいう認識がグローバルスタンダードに変化します。
つまり、中華民国という国は存在しないという考えです。
しかしながら、アメリカは台湾への経済的なコネクションの継続や、事実上の軍事同盟を結ぶ法律を制定。
ヨーロッパや日本などの国々も、台湾と外交関係を継続するための対応をとっています。
アメリカの台湾への姿勢の変化
アメリカと台湾の首脳は、この1979年の米中国交樹立以来、直接はコンタクトを取っていませんでした。
これは、中国に最大限配慮して、台湾をひとつの国として扱うことをしなかったためです。
ところが、次第にアメリカのその態度が変化します。
ドナルド・トランプ元大統領の台湾政策
その象徴的な行動をとったのが、第45第アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏。
中国がアメリカを脅かす存在と感じていた、トランプ政権。
そのため、台湾をひとつの国として優遇する動き、いわゆる台湾政策を実行しました。
例えば、首脳間の電話会談をはじめ、下記の政策などです。
✔ 国連復帰への援助
✔ 武器輸出の強化
✔ アメリカ政府要人の台湾訪問 など
ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問
トランプ前大統領から、バイデン大統領へと移ったアメリカ政権。
その政権下でも、台湾の平和と安定の重要性を強調します。
さらに、実質、副大統領の次の重要ポストである、ペロシ下院議長が台湾を訪問。
このアメリカでナンバー3である要人の訪台なども含め、アメリカと台湾の間で急速に増す親密度。
そのため、中国の反発、そして、緊張感が以前にも増して激しくなっていることに繋がっています。
この一連の関係性が、中国と台湾の問題といわれるゆえんです。
まとめ
中国による台湾統一の構想。
習近平国家主席から、「そのためには、武力行使も選択肢から排除しない」という発言まで飛び出しています。
この、『米中新冷戦』といわれる難局。
なんとか、平和的解決に至って欲しいものですね。
