2022年7月5日、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ首相が議会で演説。
そこで、国の破産を宣言しました。
これにより、ネットでは「スリランカ 日本 裏切り」というキーワードが再び話題になっています。
この記事では、「裏切り」とは何を指すのかを解説していきます。
「スリランカの日本への裏切り」とは何を指すのか?
日本とスリランカは長年の友好国です。
そのため、日本は長きに渡ってスリランカを支援してきました。
日本はスリランカにとって、二国間援助では最大の支援国だったとまで言えます。
インフラ整備に注目した場合、日本のスリランカへの大規模な支援計画は下記2つ。
① 2011年にスリランカ初の高速道路を建設
② 次世代型路面電車(LRT)の整備計画
②の計画を、スリランカが一方的に中止したこと。
それが、最たる例として、スリランカの日本への裏切りだということで話題になりました。
日本が支援する鉄道計画
②のLRT整備計画の規模は、約2,500億円。
2019年7月には起工式まで開かれていました。
ところが、2020年9月に突然中止を命じたゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領。
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これは、日本の同意なしにキャンセルいう形をとったということです。
次世代型路面電車(LRT)整備計画とは?
LRTは「Light Rail Transit」の略で、次世代型路面電車と呼ばれる交通手段のこと。
目的は、コロンボの自動車渋滞の解消でした。
コロンボの渋滞は、スリランカの首都移転が原因で激しく深刻化。
それは、15kmの移動になんと2時間もかかるほどです。
そんな、LRT計画詳細は下記の通り。
✔ 総距離15.7kmに渡り、地上高くに鉄道路線を建設
✔ 合計16駅を設置
✔ 鉄道車両の調達も含む
もちろん、この鉄道事業によって、コロンボの交通の便は大幅に改善が見込めました。
そして、2019年3月、国際協力機構(JICA)とスリランカ政府との間で、第一期分の約300億円の円借款契約も結ばれています。
円借款とは下記の通り。
『政府開発援助』(ODA)の一環で、通常の民間金融機関の融資より低い金利で長期の資金を開発途上国に貸し付ける制度。
資金を贈与する無償資金協力に比べて金額が大きく、相手国の経済発展につながるインフラ整備などの大型事業に活用できます。
引用:金融・証券用語解説 [円借款]|大和証券
簡単にまとめると、無償の援助ではありませんが、日本も史上最も低い金利で計画を提案。
日本の資金協力を得て、破格の条件でLRT整備計画が決定済みでした。
なぜ、LRT整備計画を中止にした?
スリランカ政府の発表は下記の通り。
✔ 費用が高すぎて、インフラとしての費用対効果が適切でない
✔ 建設によって多くの建物を壊さないといけない
✔ 今後、5億ドル(約530億円)以下の鉄道事業を実施することを検討している
しかしながら、実はもう1つの理由があると言われています。
というのも、LRT整備計画が決定した時の大統領は、親日派のシリセーナ氏です。
中止を決定したのは、現政権の親中派であるゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領。
そして、実兄のマヒンダ・ラージャパクサ首相(当時)も親中派であり、中国への乗り換えだという声も多いのが現状です。
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当然、この鉄道事業を中国が代わりに受け持つのではないか?との見解もあります。
なんと、中止が発表された後、即座に中国外交のトップがスリランカを訪問。
実際に、中国の経済圏構想である「一帯一路」への協力で合意したという紛れもない事実があります。
まとめ
この記事では、「スリランカ 日本 裏切り」というキーワードについて解説しました。
経済破綻が囁かれるスリランカ。
2022年5月26日・27日に開催された、第27回国際交流会議「アジアの未来」。
そこで、日本などに対して支援と連携の拡大を求めたゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領…
このことからも、複雑な感情を抱いた方が少なくなかったと思われます。
今後、日本とスリランカの関係に注目が集まっています。
